after rain

江戸時代、貯木場が日本橋・神田から木場清澄に移転され、多くの材木問屋が点在していた清澄白河エリア。
今尚、木材加工や問屋を生業としている建物もあるが、その多くは高度成長期以降の新建材の開発、流通によって縮小化している。
多くの材木問屋は都心への利便性からマンションに姿を変えているようだが、残された5M超の天高の空間の特徴を活かした商売を始める起業家が多い事は設計者のひとりとして体感しているところでもある。(Fukagawa Distillery,Imadeya salon, Que c’est beau)


そのような清澄エリアに、材木倉庫ー自動車整備場ーアパレルと時代と共に変容してきた空間を引き継いでみないか。という機会を頂戴した。

僕は常から、設計事務所のあり方に答えのない疑問を抱いていた。
一つはどのように街に開けるか、開きたいか、という関係性について。
もう一つは直接的にお金を生み出さない設計事務所という空間の活用方法についてである。

事務所を開こうと言っても、一般の方からするとなんとも入りにくいコンテンツであることは明確であり、実業務の片手間でできる簡単な商売などない。ただ僕らは街の一部となるグラウンドレベルの存在価値については理解しているつもりだ。
ならば一緒に開いてくれるパートナーと共に場を作れないか。という思考に至った。
かねてより暮らすように働いている僕らは、職場にこそ、あそび(行為としても空間としても)が必要だと感じている。気分により移動し、景色を変え、視座をずらし
目的である設計の品質を探りながら自らの背中を押していくのだ。
コーヒーや音が好きで実際のプロジェになっているのもこう言った背景からだと思う。働く日常に心地良いグリーンや光や音や香りが溢れている事。それこそがインスピレーションにつながり、街の景色になれればと。
計画の模型やモニターに集中しているデザイナーの姿そのものを開くのではなく、僕ら含めた多くの人が心地良いと思えるコンテンツで街との接点を生み開く。

具体的には空間のFOH(フロントエリア)にグリーンと照明のショップを迎え、puddleアトリエはBOH(バックエリア)を利用することにした。
そしてFOHとBOHの中間に曖昧なPublicエリア設けた。
Publicエリアは平日はPuddleの利用頻度が高まり、週末となるとグリーンストアがショップとしてお客様と過ごすエリアに変わる。
企画次第でポップアップなどの営業ができるようにも準備してしている。

よせては返す波のようにFOHとBOHが時間により領域を変化させる事で、事務所スペースの有効活用を積極的に取り入れていく。

まだプロトタイプとして誕生したばかりの場であるが
時代や働き方によって変容していく実験的な場所に育てていきたい。


協力
Hoshino & partners
LOSKA
Ito
Porter’s Paint
toolbox
TIMBER CREW
Notcho’s Workshop
reyt
Students of Tokyo designplex institute

-Shop Information-
after rain
https://www.instagram.com/afterrain_tokyo

Data

  • Client

    Puddle Inc.

  • Office,Retail Shop,Gallery/Studio,Event hall

    Kiyosumishirakawa, Tokyo (Japan)

  • Completion

    2024.07

  • Total area

    146.00㎡

  • Design

    Masaki Kato, Ryoga Osada, Kotaro Mikazuki

  • Construction

    KICHI & Associates Inc.

  • Green design

    The Plant Society

  • Lighting design

    Nest Studio

  • Photo

    DAISUKE SHIMA