Tamitu Laboratory & Cafe

「内装」というものは建築そのものとは違い、入れ替えることが容易である。特に商業建築の区画分けされた内装においては、オーナーやブランドが変われば、内装もガラリと変わる。そうでなくとも時代の雰囲気に合わせてスクラップ&ビルドされることも珍しくない。私はそういった従来の商業内装のスピード感やモノの寿命に大きな疑問を持ち続けている。
2019年、このプロジェクトの位置する表参道のGYRE地下にダンデライオンチョコレートの店舗をデザインした際、理解あるクライアントとプロデューサー陣により、「区画を明確に分けない」という条件をいただいた。
つまりダンデライオンを含む複数のブランドが緩やかに共存するという方針だ。
その意図を受けて、私たちはフロア全体の回遊を促すためにカフェカウンターを緩やかな円弧フロアをつなぐようデザインした。それからしばらく経ち、ダンデライオンはこの地での運営を離れることになった。
また、一つ空間とともに「意思」が無くなってしまうのか。と残念に思った矢先、ある方より「この内装を受け継いで新しい事業をスタートしたい」というオファーを受けた。彼女は水谷養蜂園から新しいブランドTamituを発信する場所として、この場の持つコンセプトを理解してくれたのだ。
もちろんそのままではなく、彼ら特有の蜂蜜工房をガラスケースとしてみせると共に、オリジナルのカウンターをさらに空間の前に一歩前進させた。カウンターの形状は活かしながらも、同ブランドのエッセンスを十二分に入れ、新しい場が誕生することになった。
クライアントもブランドも変わりながら、受け継がれる場に立ち会える貴重な体験をいただいた。Tamituはオープンから一年が経ち、新しい看板の製作へと進化し続けている。

Data

  • Client

    水谷養蜂園株式会社

  • Cafe, Retail Shop

    Omotesando,Tokyo (Japan)

  • Completion

    2022.7

  • Total area

    42.00㎡

  • Design

    Masaki Kato, Chayo Shinozaki

  • Construction

    welcome todo

  • Lighting plan

    ModuleX

  • Kitchen plan

    Maruzen

  • Photo

    DAISUKE SHIMA