Shop house / hi, fu, mi
減築した庇の下で
瀬戸内海をつなぐしまなみ街道の中継島でもある生口島、瀬戸田に建つ築40年超の木造住宅建築のコンバージョンである。
クライアントはこの瀬戸田に実にバリエーションを持った宿泊所、レストラン、カフェ、ワークプレイスの開発を通して、地元の人と共生する新しい地域作りをこの数年行なっており、瀬戸内だけでなく国内外から注目されているエリアとなっている。
私たちはさらなる地域の発展とコミュニティーが生まれる点として『ショップハウスプロジェクト』にデザイナーとして、企画段階より参画している。
ちなみにショップハウスとはシンガポールをはじめとするアジア諸国で見られる店舗付き住宅の総称である。
このショップハウスという装置を用いて、地域の人々が必要としているインフラ的な集いの場という点を段階的に町にプロットしていくものである。これは旅行客と住民(や移住者)のニーズの接点であると同時に、久しく開くことのないシャッター商店街や利用目的が見出せずに解体されてしまった建物の空き地を次世代につなげるアセットでもある。
第一弾は、瀬戸田の賑わいの中心地に残された築40年超の木造住宅建築を総菜屋と宿泊室にコンバージョンすることからスタートした。
敷地いっぱいに立てられた既存建築のファサードを1F、2F共に減築し、1Fは通りの延長的空間を通行者に提供することとした。またホテル客室としてリノベされた2Fも減築部分をテラスとしてリデザインすることにより、人が作るファサードを通りに露出させ、コミュニケーションが生まれる関係性を作り出すことにした。
一般的にホテル客室は外界とのコミュニケーションを切り離して設計するようであるが、この建物が以前そうであったように、内外の人が意識せずにもつながるように願いこのような形とした。
「住まうように泊まる。」このような感覚が宿泊者の体験に少しでも残るよう願いを込めた。
間を置かず、隣地空地には新築ショップハウスを計画中である。
今後それぞれの土地や建物の特性や需要を読み解き、点の集合が面として広がっていく様子を設計者として、時に利用者として見守って育てていきたい。
Data
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Client
kk shiomachikikaku
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Retail Shop
Setoda,Hiroshima (Japan)
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Completion
2023.4
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Design
Masaki Kato, Aoi Hirose
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Construction
CPTN.
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Photo
akira sakuma