DMO TOKYO
「見る」「見られる」のリデザイン
「DMO TOKYO Marunouchi」は皇居に面したオフィスビルに位置する、BtoBのプレゼンテーションや商談のための空間です。大手町・丸の内・有楽町エリアにおいて、国際会議や展示会、見本市の開催を企図する運営者に向け、エリアの特性や開催地としてのメリットを伝える場として機能します。クライアントである三菱地所の担当者とは、私がPuddleの屋号を掲げてから最初の案件となった「新丸ビル」共有部以来の協働となりました。
本プロジェクトで求められたのは、空間の用途を正しくデザインへ反映すること。海外から視察に訪れた運営者を迎え入れ、滞在中の拠点としてふさわしい機能を持たせるだけでなく、主たるアクティビティが行われる会議室の計画において、内部に外部をつくり、閉じるべきものを開くという二つの反転を試みています。
オフィスビルの6Fに位置するエントランスは、外部がこの場所まで連続している感覚を身体的に感じてもらえるよう、丸の内の仲通りを想起させるざらりとしたテクスチャーの素材を床に使用しました。
スケルトン天井とした室内に歩みを進めると、手前に「大広間」、奥に「奥の間」と名付けた二つの会議室が設けてあります。軒を持ち、一段床を上げた「大広間」は、まるで屋外に設けられた舞台のような存在感を持ちます。また、総じて会議室というものは閉じたスペースとして計画され使用されることが多いものですが、このスペースを仕切るのは全面解放が可能なガラスの引き戸。会議という行為自体が舞台で行われる演目のように活気付き、会議室の外まで伝わっていく様子をイメージしています。実際の使われ方として、この会議室を演壇として捉え、通路側から会議室を見るという使い方も生まれたようです。
今回のプロジェクトのように、近年はいただく案件の規模の大小と業態の幅が広くなってきました。
いわばソフトのみの私たちに包括的なプランニングを託していただいている点に、建築・空間設計事務所ができることの可能性を感じています。加えて、海外での経験をバックグラウンドに持つ所員たちのエッセンスがバランス良く調合されてきました。Puddleとして、規模は小さくとも、日々ボーダレスな考え方を持ち、解答を出していきたい。世界中に存在するまだ見ぬクライアントとの出会いに備え、外からの眼差しを持ち続け、解像度を落とさずに。そんなこれからの心構えを、再認識した仕事となりました。
Data
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Client
Mitsubishi Estate Co., Ltd
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Office, Gallery/Studio
Marunouchi,Tokyo (Japan)
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Completion
2018.10
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Total area
512.397㎡
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Design
Masaki Kato, Yuki Sato
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Project Management
DE-SIGN Inc.
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Photo
Takumi Ota