TSUCHIYA KABAN MARUNOUCHI

広がり混ざるクラフトマンシップ
東京、新丸ビル4階にリニューアルオープンする「TSUCHIYA KABAN 丸の内店」は、ターゲットを広げていくため、より開放的で魅力ある店舗空間を目指して設計を進めた。
東京・丸の内という多くの人々が行き交う商業施設にふさわしい平面計画を意識し、象徴的なレザー什器を空間の中心に据え、来店者の視線が自然と奥まで抜けるような構成とした。
エントランスは、誰もが気軽に入りやすいよう間口を大きく設け、両端にR壁を配して店内へ誘導していく。什器は低く設計し、店内の見通しを良くすることで、回遊性を高めつつ、商品がよく見えるレイアウトを実現した。また、店内奥には外光を取り入れる窓があり、自然光を適度に取り込むことで、開放感のある空間づくりを目指した。鞄の日焼け対策として壁を建て閉鎖的にしがちであるが、今回はウッドブラインドと植栽を設けることで光の調整を可能にし、空間の抜け感を損なわない設計としている。
素材選定においては、商品が映えるシンプルな素材を採用しながらも、近くで見ると人の手仕事の温かみが感じられる質感を重視した。床にはコンクリート平板を敷き、共用廊下とのトーンにギャップを持たせることで、店舗の個性を強調した。また、奥のメンズエリアにはカーペットを敷き、よりドッシリとした上質感のある空間とすることで、落ち着いて商品をご覧いただけるように配慮している。
象徴的な部分には、京都店で試みた鞄職人との協業をさらに発展させ、丸の内店では都内の製造拠点と連携しながらオリジナルのレザーサンプルを制作。職人、施主、施工、設計が一体となって議論を重ね、理想的な空間づくりを実現することができた。
カウンターや円形什器など随所に本物の革をあしらい、土屋鞄のクラフツマンシップを演出。緊張感のあるグレー基調のミニマルな空間の中にも、落ち着きと柔らかさを感じさせることで、誰もが気軽に立ち寄れる雰囲気を創出させた。
伝統と革新を融合させた空間づくりを通じて、より多くの方々に土屋鞄の魅力を体感いただける店舗となることを目指した。
Data
-
Client
株式会社 土屋鞄製造所
-
Retail
Marunouchi , Tokyo
-
Completion
2025 , 04
-
Total area
99.41㎡
-
Design
Masaki Kato , Ryoga Osada
-
Construction
KIKUSUI Co., Ltd.
-
Green design
The Plant Society
-
Lighting design
Light Concier Design Office Co., Ltd.