MEAS

私たちはこれまで、人にとって心地よいと感じられる場所を、より多くの人にひらいていくことを軸に、空間の体験をつくってきた。
一方で、住宅のような個人に深く紐づく領域においては、直接的に関わる機会は限られていた。

本計画は、東京都中央区入船に拠点を構えるクライアントからの依頼により始まった。
彼らは、日本全国の住宅メーカーではない小規模な工務店や作り手たちを、保険という仕組みを通して支える存在である。話を聞く中で、作り手の想いや背景が生活者に届いていない現状、そして拠点である入船から地域や外部とつながる場をつくりたいという意志を知り、私たちにも関われる可能性を見出した。

計画地である入船という地名は、かつて港湾や河川に近く、舟の出入りが頻繁に行われた「水路の入り口」に由来する。
人や物が行き交う結節点であったこの場所の記憶を手がかりに再解釈して空間に重ねることを起点とした。

現代では、住まい手と作り手の関係は希薄になり、住宅建材メーカーを含めた多くのものづくりが生活者から見えにくくなっている。

本計画では、素材(マテリアル)とアーティストの関係性を中心軸に据え、作り手と使い手が直接出会う場をつくることを試みた。カフェとギャラリーを重ね合わせることで、日常の延長の中で工藝や民藝、アートに触れる体験を生み出す。カフェを入口とし、その先に日本各地のものづくりとつながるギャラリーを配置することで、関係性が段階的に立ち上がる構成としている。

街に対しては、前面の大通りを行き交う速い交通の流れを受け止めながら、人の動きをゆるやかに滞留へと変換するファサードを計画した。屋形船の銅葺きから着想を得た銅の軒を深く出し、街路に向かってカフェカウンターを迫り出すことで、歩行者がふと足を止める余白をつくる。時間とともに変化する銅の表情は、光や街の気配を映し込み、通りに揺らぎを与えていく。

外壁には焼杉材を用い、船先のように街へと張り出すフォルムとした。内部に入ると、既存床のコンクリート洗い出し仕上げが広がり、水面を思わせる質感によって空間に穏やかな奥行きを与える。中央や奥に設けた立ち上がりは、展示の平台であると同時にベンチとしても機能し、鑑賞と滞在が自然に重なり合う。

ギャラリーでは、発光天井によるフラットな光環境によって構成され、作品や時間帯に応じて調光・調色されることで、空間の印象を柔らかく変化させる。壁面には漆喰の左官仕上げを施し、簡素でありながらも人の手仕事の痕跡と素材の呼吸を感じられる場とした。

真空管アンプによる柔らかな音、光の揺らぎ、素材の質感や手触りといった五感を通して、ものづくりを体験することを意図している。ギャラリーの持つ敷居の高さは、手前にカフェを配置することで和らぎ、人々の動機を滑らかに内部へと導く。

入船という、かつて人と物が行き交った場所の記憶を起点に、ここを日本各地のものづくりとつながるゲートウェイとして再編する。

この場所が、入船を拠点に地域や全国とつながり、これまで交わることの少なかった近隣の働く人々や住まい手との関係をひらく、コミュニティの入口となり素材、作り手、使い手が交差し、関係をつないでいく起点として広がっていくことを期待する。

-Shop Information-
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https://www.meas.or.jp/

Data

  • Client

    一般社団法人MEAS

  • Cafe, Gallery

    Irihune, Tokyo

  • Completion

    2026, 02

  • Total area

    45.08㎡

  • Design

    Masaki Kato, Kotaro Mikazuki

  • Construction

    &S co.,ltd

  • Lighting design

    Modulex, Nest Studio

  • Amplifier

    Puddle Sound

  • Photo

    DAISUKE SHIMA

  • Detail data

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