% ARABICA Kyoto Higashiyama

参道に直行する世界への小道

京都・東山。歴史的要所であり、独特な風情を持つ地域。昭和の木造建築が建ち並ぶ八坂通り沿いに、約50年前に建てられた古民家二階建てを、香港発コーヒーロースターショップ「%ARABICA」日本一号店としてリノベーシションするプロジェクトである。
コーヒーのロースターショップでありながら、生豆のストックヤード、焙煎機のショールーム、世界のバリスタのワーキングホリデーの拠点としての機能を求められた。

大きく解放されたガラスファサードが目を惹く店舗内は、通りを行き交う人が思わず覗き込みたくなる、新たにできた横路のような路地的内部空間が広がる。また、エントランスは八坂通りの石畳のパターンをコンクリート平板で再現。外と内が連続する印象を持たせている。

店舗中央には人造大理石研ぎ出しの巨大な白いカウンターを設置。一粒ずつ豆を摘み、焙煎し、じっくりと淹れるコーヒーは、どの工程でも人の手による丁寧な仕事が重要。そのことを象徴するかのように、人の手で研ぎ出されたカウンターはゆったりと強い存在感を持ち、人々の拠り所となる。 コーヒーを通して世界を見、人々が集いコミュニケーションが生まれる場所を思い描いた。

世界中の厳選した生豆のストックヤードは壁一面に設置。既存の木造建築を柱が無く天高のある空間にリノベートするために、構造補強が必要であったが、豆を温度湿度管理するワインセラーならぬコーヒービーンズセラーを作ることでその補強を成り立たせた。内部は元々の建築の構造が露出している。

世界中から届いた新鮮な生豆と、50年を超える経年変化した建築状態を保存したショーケースとも言えるのである。